15分の1の不思議
2009年10月08日
「うどんの粉なんか安いから、うどん屋は儲かる。」
これほど滑稽な発言はなかなかないと思います。
儲かろうと、儲かるまいと
うどん店の支払いの中で、うどん粉の支払いに占める比率は小さいもので、うちでは事業費全体の15分の1にもなりません。
もちろん、支払いだけでは生活できませんから、必要売上の19分の1ほどにしかなりません。
今度、小麦粉の値が下がるそうです。
これ自体は店にとっていいことです。
うどん用小麦粉の値が10%下がったら、商売の数字のわからない普通の人は「うどん屋は値下げしてもいいんじゃない?」って思うでしょう。
しかし、売上に占める比率19分の1のさらに、10%だから、うちの1玉190円のかけうどんで言うと1円分しか下がりません。
じゃあ、なぜたがが19分の1の小麦粉の値上がニュースになって、うどん屋が値上に走るのか
セルフうどん屋の天ぷらの原価率は50%ぐらいはいってます。
すると、一般的な飲食店の総原価率33%ぐらいまでに抑えようと思うと、うどん部分は25%ぐらいまでにはおさめないといけません。
すると、下がるときは1円分だけど、上がるときは1円の利益に対して、自分の労働費や光熱水費やパートの人件費などかけてはじめて売上になるので、同じ額粉の値が上がっても売上=売価ベースで4円分の負担が増すんです。
だから、うどん粉の値下げの20%は2円でしかないけど、値上げの20%は8円の負担になって、おおよそ10円値上しないと苦しくなるんです。
つまり下げの4倍上げは厳しいんです。
そして、粉の値が上がるようなときは、天候不順関係ならあらゆる食品が値上がりしやすかったり、石油の値上がり関係が原因ならほとんどすべてのものが値上りしやすい状況で、たまたまうどん屋のニュースだからわかりやすく粉の話にしてるだけだったりする。
しかし、値下げのときは、その品目だけの特殊事情だったりして、あまり他の品目がセットで下がったりしないんです。
実際は、世の中にほとんど便乗値上げなんかありません。
競争だからそれやったとこから、零細はすぐにつぶれるだけですから、値上することにはたいへんな恐怖心を持っています。
だから、仕入や経費の値上がりが何十回起こって、ガマンしきれなくなったときに、値上がり要因の過去何回分かまとめ、さらにある程度先を見越して値上するから一見便乗値上げ風に見えますが、実際に経費の値上がり分きちんと値上できてるとこはあまりないでしょう。
上げは4倍で、多くの品目が同時に上がるので、小麦粉の値上10%が起きるときに、値下げ10%に対して10倍~20倍の負担がかかることもじゅうぶん考えられます。
だから、小麦粉が20%下がったときにかけ1玉について、2円しか負担減らないけど、上がるときには20円分ぐらいのコストアップ要因になりがちなんです。
世の中に値上要因が重なったけど値上をガマンガマンが何十年続いたというケースはあっても、値下げ要因が積年続いたなんてことはありえないから。
大手メーカーみたいに価格転嫁力が強ければ、材料費が上がったときに上げ、下がったときに下げができるかもしれませんが、零細飲食店は、何年分も積もり積もった経費増を値上できず、近所でも20年も30年も値上せずにがんばったのをやっと値上したという感じで、やっと手に入れた値上の新価格の権利だけに、そうそう、たまたま1回材料費が下がったらからって、その涙ぐましき決断たる値上したものを、下げ直すなんて決断はしないし、値下げすることの方がまったくの不合理。
小麦粉はうどん屋の支出の15分の1にもならないことが多い。
(家族労働や自宅敷地でやってれば大幅に変わるが、それでも10分の1ぐらいで、小麦粉代の10倍ぐらい他に支払いがあるでしょう。他に麺の継続的な納入をやって、おかずをほとんど置かないタイプの製麺所でも、少ないとこで4倍、標準で5~6倍ぐらいはたぶんあるでしょう。ネギと出汁だけで飲食店部分はもう粉代の3倍ぐらいになり、光熱水費足したら5倍近くになりますから。)
そして、小麦粉の値上は、同額値下げの何倍もの負担になる。
(世の中全体に、価格の下方硬直性がありますから。もし、売上が下がっても、翌日に給料もう下げられたりしてないでしょ?
ちょっと期間をおくでしょ?これが価格の下方硬直理由の最大のものの一つです。価格が下方に硬直するのは、人々の生活を会社や国などが守ろうとしてるからです。)
不思議じゃないですか?
うどん屋をやる人は、こういうことをつかんでおいてほしいです。
これほど滑稽な発言はなかなかないと思います。
儲かろうと、儲かるまいと
うどん店の支払いの中で、うどん粉の支払いに占める比率は小さいもので、うちでは事業費全体の15分の1にもなりません。
もちろん、支払いだけでは生活できませんから、必要売上の19分の1ほどにしかなりません。
今度、小麦粉の値が下がるそうです。
これ自体は店にとっていいことです。
うどん用小麦粉の値が10%下がったら、商売の数字のわからない普通の人は「うどん屋は値下げしてもいいんじゃない?」って思うでしょう。
しかし、売上に占める比率19分の1のさらに、10%だから、うちの1玉190円のかけうどんで言うと1円分しか下がりません。
じゃあ、なぜたがが19分の1の小麦粉の値上がニュースになって、うどん屋が値上に走るのか
セルフうどん屋の天ぷらの原価率は50%ぐらいはいってます。
すると、一般的な飲食店の総原価率33%ぐらいまでに抑えようと思うと、うどん部分は25%ぐらいまでにはおさめないといけません。
すると、下がるときは1円分だけど、上がるときは1円の利益に対して、自分の労働費や光熱水費やパートの人件費などかけてはじめて売上になるので、同じ額粉の値が上がっても売上=売価ベースで4円分の負担が増すんです。
だから、うどん粉の値下げの20%は2円でしかないけど、値上げの20%は8円の負担になって、おおよそ10円値上しないと苦しくなるんです。
つまり下げの4倍上げは厳しいんです。
そして、粉の値が上がるようなときは、天候不順関係ならあらゆる食品が値上がりしやすかったり、石油の値上がり関係が原因ならほとんどすべてのものが値上りしやすい状況で、たまたまうどん屋のニュースだからわかりやすく粉の話にしてるだけだったりする。
しかし、値下げのときは、その品目だけの特殊事情だったりして、あまり他の品目がセットで下がったりしないんです。
実際は、世の中にほとんど便乗値上げなんかありません。
競争だからそれやったとこから、零細はすぐにつぶれるだけですから、値上することにはたいへんな恐怖心を持っています。
だから、仕入や経費の値上がりが何十回起こって、ガマンしきれなくなったときに、値上がり要因の過去何回分かまとめ、さらにある程度先を見越して値上するから一見便乗値上げ風に見えますが、実際に経費の値上がり分きちんと値上できてるとこはあまりないでしょう。
上げは4倍で、多くの品目が同時に上がるので、小麦粉の値上10%が起きるときに、値下げ10%に対して10倍~20倍の負担がかかることもじゅうぶん考えられます。
だから、小麦粉が20%下がったときにかけ1玉について、2円しか負担減らないけど、上がるときには20円分ぐらいのコストアップ要因になりがちなんです。
世の中に値上要因が重なったけど値上をガマンガマンが何十年続いたというケースはあっても、値下げ要因が積年続いたなんてことはありえないから。
大手メーカーみたいに価格転嫁力が強ければ、材料費が上がったときに上げ、下がったときに下げができるかもしれませんが、零細飲食店は、何年分も積もり積もった経費増を値上できず、近所でも20年も30年も値上せずにがんばったのをやっと値上したという感じで、やっと手に入れた値上の新価格の権利だけに、そうそう、たまたま1回材料費が下がったらからって、その涙ぐましき決断たる値上したものを、下げ直すなんて決断はしないし、値下げすることの方がまったくの不合理。
小麦粉はうどん屋の支出の15分の1にもならないことが多い。
(家族労働や自宅敷地でやってれば大幅に変わるが、それでも10分の1ぐらいで、小麦粉代の10倍ぐらい他に支払いがあるでしょう。他に麺の継続的な納入をやって、おかずをほとんど置かないタイプの製麺所でも、少ないとこで4倍、標準で5~6倍ぐらいはたぶんあるでしょう。ネギと出汁だけで飲食店部分はもう粉代の3倍ぐらいになり、光熱水費足したら5倍近くになりますから。)
そして、小麦粉の値上は、同額値下げの何倍もの負担になる。
(世の中全体に、価格の下方硬直性がありますから。もし、売上が下がっても、翌日に給料もう下げられたりしてないでしょ?
ちょっと期間をおくでしょ?これが価格の下方硬直理由の最大のものの一つです。価格が下方に硬直するのは、人々の生活を会社や国などが守ろうとしてるからです。)
不思議じゃないですか?
うどん屋をやる人は、こういうことをつかんでおいてほしいです。
Posted by たみ家 at
00:58
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