微妙な判決

2010年03月31日

京都府宇治市の学習塾で2005年、小学6年堀本紗也乃さん=当時(12)=が塾講師の男(27)=殺人などの罪で服役中=に刺殺された事件で、紗也乃さんの両親が塾を経営する「京進」(京都市)の使用者責任などを問い、約1億3000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁(松本清隆裁判長)は31日、同社に約1億円の支払いを命じた。
 松本裁判長は塾側の使用者責任を認め、「講師の使用者である塾が、講師が負うべき損害賠償額と同額の責任を負うことはやむを得ない」と指摘。京進側の「女児殺害計画に気付くことは困難で、故意に罪を犯した講師とは責任が異なる」などとの主張を退けた。


これ、大手だから払えるけど
個人経営の塾で、業務そのものの執行でない故意の突発的な殺人に同額の責任負わされたらこわいぞ。

飲食店でも、カッとしやすいのや、素行が悪かったのはこわくて使えんぞ。

直接の業務執行でない故意の気づきようのない事件に、雇えば同額の責任という法理が広く認められることには直感的に怖さを感じたなあ。

この法理を広く類推されたら、人雇うのもこわいから、失業対策にマイナスかもね。

民法第715条の使用者責任は「事業ノ執行ニ付キ」第三者に損害を与えたる者は損害賠償の責に任ずで、被用者の選任及びその事業の監督に相当の注意をしても損害が発生したときはこの限りでないわけだ。

これは事業の執行の一環といえるか?

また、講師の選任に過失があるといえるか?

気づきようのないものに、相当の注意とは?

塾講師雇うのに、過去の精神疾患などの病歴とか逮捕歴とか履歴書に書いてる以上のこと調べるの現実的でないだろうし、そんなことそれ以上調べたら完全に人権侵害だろうし。

事実に関する情報がないから、たみ家がニュースとかで聞き覚えのある範囲での感想だが、あれで安全義務違反があったというなら、性格の悪いの雇ったり、仲が悪そうなのを直ぐに人事異動で離さなかったら、全部安全義務違反だったりしないのか?

例えば、職場で阪神ファンと巨人ファンが、口論からケンカになってどっちかが大怪我したら、会社はケンカの被害に対して損害賠償負うのだろうか?
阪神ファンと巨人ファンはケンカになりやすいんだから別の課に離しておけって。
しかも、会社は怪我させた側と同程度の責任って。

被害者が、従業員かお客さんかってことは、被用者の加害に使用者が責任を負うという関係に論理的に直接影響しないから、事例としては同じと考えてよいのでは?

このあたり、かわいそうだからとか、払えるやつに払わせろでは、法律論としては怪しい。
刑事と民事、民事の中でも誰の責任か、また使用者に責任があっても同程度同額の責任なのか。
ここ、きちんと考えたら、京進が犯人と同程度同額の民事責任ってないような気がするけどね。

これって、日本中の雇用者が人を雇うときの責任の範囲や大きさを宣告する判決になるわけだから、法律論に則らない大岡裁きは困るぞ。

高裁でひっくり返ってもおかしくないような気がするなあ。

京進、控訴するの?
控訴したり、長引いたら、イメージ的に損だわなあ。
ちょっと気の毒だわ。

たみ家は事実をはっきり知らないし、この判決に気持ち悪さは感じるけど、はっきり異議を唱えるほど自信はないんだな。
京進にがんばってもらって、高裁のよりレベルの高い判断を待ちたいね。
これで確定は気持ち悪いわ。



 
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