ダイエットでは間に合わない 1

2008年11月02日

前記事で、月収30万円の自営のお店が月収100万円になったとしても、何かあったときに倒れる危険はあまり減らないのではないかと書きました。

規模が拡大したということは、家賃など義務費が拡大した可能性が一般に高いでしょう。

そして、出費はたいてい事前から「事実」です。
しかし、利益や売上は、いつでも達成するまではフィクションです。

規模が大きくなるということは、「事実」が大きくなるわけで、確かに平時の儲けは月収30万のときよりは増えているでしょうが、フィクションで事実に追いつかないといけないとこが大きくなります。

そして、取引先でも倒れたら、うちの場合なら取引先とはいいませんが、近隣で大きいオフィスのお客さん群が移転したらとか、大手うどん店でも近隣にでき、取引先をごそっと持っていかれるような場合が本質的に同じでしょうが、雪だるまのように負債が膨らみます。
月収100万あがる店なら、1か月で負債が100万円ぐらい増え続けるでしょうから、がんばってお客を回復しようなんて不可能です。
回復基調に入っても負債の元利は膨らみ続けるので、即決判断で損切りして撤退することになるでしょう。

移転するなら、すでに儲かってて移転資金があるとか、次でも儲かる自信がある程度、それまで儲かる営業になってたことが必要でしょう。
「食べていけたら」の店が移転なんかできるわけがないし、したくもないでしょう。
移転できないなら、無職・無収入です。

リストラなら退職金が出ます。
借金つくっての無職・無収入のキツさはリストラの比でない。


店舗拡大とか増改築とか機械のリースとか雇用の増員とかしてたら、マイナスの振れ幅が大きくなるので、オーナーの純利益としての月収が100万あっても、やっぱり何かあったときに倒れる危険は考えたことのない人が思うほどは減らない。

小から大にはなれますが、大から小にはなりにくいとこがある。
イオンの何万㎡店舗で、月商1000万円とか許されるわけがないように。

ダイエットみたいな緩やかなダウンサイジングでは間に合わない。
毎月、出費という「事実」だけが積みあがるので、すでによほど儲かってないと、ダイエットでは間に合わないので、身体を切断していくことになる。

店舗とか不動産を購入しての規模拡大部分は、切断が難しい。
雇用を増員した部分の規模拡大は、手当てを払う場合が多いが、まだ切断が可能だ。

だから不動産バブルが崩壊したら
そこの処分は難しく、できてもバブル後で国全体で不動産と株で1000兆円以上の国富が失われたのだから、あまたで大損が出た。
そして、リストラの名で人が切られた。

正社員をとらずに派遣が増えたのは、日本が成長しないし、グローバリズムによって変化も大きくなるしで、「事実」の重荷がバブルの反省も含めて企業が重いと思うようになったからだと思う。
ゆるやかなダイエットでは間に合わないから、切断可能な身体にしておかないといけない。

拡大はいつでも切断可能な拡大にしておかないと危険。
ダイエットで対応しないといけない拡大では、その間の負債拡大で丸ごとひっくり返ってしまう。
全身に転移したガン細胞なんか切れんだろうから、企業なら組織文化とか国なら国民や公務員や政治家のモラルのような体質的なものも大事ということになる。

国の行財政改革なんてのは、公務員の組合が強かったり、法で保障された身分とかあるから、切断よりダイエットに近くなる。
高齢者の医療とか生活保護とか、いろいろありますが、国の仕事ってのは、切断しておいて「後は勝手にやって」ではすまない。
企業なら外のことにできるけど、国は、問題を外に放逐することはできないから、いつまでも問題の意味合いが変わるだけで内側の疾患であり続ける。

原理は、ミクロの現場判断でも、マクロでも、歴史的な話についても、だいたい整合してるよなあ。


「悪いことだけが事実」

「いいことはいいことにできてはじめて事実になる。」

じゃあ、うまくいくにはどうしたらいいのか。

たみ家は、成功してないので想像だけど、国とかじゃなくて個人のレベルでいうなら、いいことが起こりやすい人柄になるとか人間関係をつくるとか普段から何かが起こることに備えて考えているとかで

「運を自分で良くしやすくするか」

「普通の人には何でもないことを幸運に事後に変えてしまえるか」

だと思う。



 
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