責任あるさぬきうどんブームの見方

2011年02月13日

田尾さん発といわれる、さぬきうどんブームって、県内のうどん屋の売上や利益を増やしたと思いますか?

普通に責任ある見方をすると、さぬきうどんブームというのは、ほとんどのうどん店の利益をガタガタに減らしてます。

普段1日にさぬきうどんブームによる観光客で利益が3000円以上出る店って、800店あって、30店、多くても50店まででしょう。
3000円って、事業の儲けのうちに入らんでしょう。

で、さぬきうどんブームの前って、県内にうどん屋は4~500店ぐらいだったわけですが、それがブーム後800店ぐらいになりましたし、チェーンの参入などで店は大型化し、総席数は倍どころではないでしょう。

さぬきうどんブームの前のうどん屋は30席程度でも小さな店ではありませんでしたが、この1年に開いたお店はほとんど60席以上の店です。
つまり、大規模に資金を投入できる店しか勝負できなくなってきてるのです。

観光客なんてのは、統計の県外観光客の数と滞在日数から推計すると、1日県内に平均して3,000人程度です。
ところが、不況と重なるさぬきうどんブーム期間中に、県内の労働者人口は、約6万人減ってますし、高齢化して食も細くなってますし、給与も下がって財布も痩せてます。

つまり、さぬきうどんブームの期間中に、うどんを食べる人の数は圧倒的に減ったのに、店の総席数は2倍を超えるようになったわけです。

さぬきうどんブームの前は、うどん屋はどこもたいてい儲かってましたが、ブーム後、ほとんどの店が儲からなくなり、経営がガタガタになった店が多い。

旨味が増えたのは、県外にお土産を発送するような工場を持つ会社であったり、粉屋だったり、機械メーカーや金融機関であって、実際は、さぬきうどんブームは、うどんブーム以前からあるほとんどの店の利益を減らしているわけです。

こういう見方をしないと

無駄を省けば、消費税を上げなくていい、政権交代すれば薔薇色の未来が待っているみたいなことを信じてしまいますよ。


今日の新聞記事で、丸亀町商店街が表彰されてたのが出てましたが、成功例かどうかなんて、まだ売上や利益が上がったわけでないし、数十年スパンのまちづくりの成果なんかまだ上がってないし、商業的にも、成功例でもなんでもないですよね。

まあ、普通に考えたら、うまくいかないでしょう。
がんばろうが、がんばるまいが、簡単ではないでしょう。
まあ、日本や地方経済の構造を考えたら、まったくいかんでしょう。

たみ家が無粋にも言ってしまいましたが、表彰されてたところは、無理してがんばったけど、ほとんどうまくいく見込みがない。
それを表彰して成功例として、宣伝することで、少しでも援護射撃しようというだけのことでしょう。

行政が表彰する成功例の99%は赤字だったり、長期の成果が求められるのに初めだけ黒字で成功例として祭上げあとずっとサッパリとか、見た目が派手な状況がちょっと出現しただけか、行政がそそのかしてやらせたから成功例として祭り上げて宣伝して応援してあげないとしょうがないとかそういうものばっかりです。


たみ家は、虚無に走ってるわけでも、後ろ向きに考えてるわけでも、バカにしてるわけでもないですよ。

もっともっと現実は厳しく、もっともっと高いレベルでやらないと、まったく届かないのに、広い意味の何らかの利権のようなものに歪められて、疑問なく、さぬきうどんブームや表彰を手放しにいいものと思ってる人が多いのは恐ろしいと思います。

たみ家は、成功例でなくても、その過程を表彰したっていいと思いますが、何十年単位の建設投資の成否なんか、まだ何も出てるわけないんだから、丸亀町が成功したなんてほんとのとこ言えるわけないとは思います。

また、うどん屋の儲けはほとんど減りましたが、実際は、うどん屋以上に、ランチやってる喫茶や定食屋がうどん屋以上にうどん屋につぶされた面はあるでしょう。

つまり、観光客だけでなく勤め人も外食中うどんの比率は上がったといえるでしょう。
家族のレジャーでも入りやすいようなうどん屋も増えましたし、でも、それって、香川の食文化を単調にしてる疑いもあるし、健康面でもどうかと思うし、定食や喫茶のランチを食べてた人がうどんに流れたのなら、香川経済のデフレ化でもありますよね。

行政って、自分達の手柄にするために、関わったことのいい面だけを言うし、マスコミもそれに乗ったりするでしょ。
田尾さんの芸術祭がらみでの、行政と結託した地方メディアに対する批判は、一部のうどん関連業界を潤し、香川の知名度は上げたけど、大きなダメージも広がってるのに、そっちは言わないという話と似てるでしょう。
さぬきうどんブームについてはちょっとブーメランで返るかもね。

虚無に走るのでなく、
バランスよく、広い範囲をとらえて、物事を考えたいということです。
それが責任ある見方だと思います。



この記事へのコメント
うどん店の総席数とか
行政の巨額の投資と表彰
香川経済のデフレ化現象
同意です。
郊外の大型店は、まだまだ出店してますよ。
Posted by ひめ太郎ひめ太郎 at 2011年02月13日 00:41
ひめ太郎さま
うちらブーム後に開店してますから、ちょっと言いにくい面はあるんですが。
それはそれということで。
Posted by たみ家たみ家 at 2011年02月13日 01:08
たみ家さん

うまく言葉に出せないのですが
同じ思いです。
Posted by 水来水来 at 2011年02月14日 03:04
水来さま
ありがとうございます。
きっとこういう話は波長が合うことが多いと思いました。
Posted by たみ家たみ家 at 2011年02月14日 09:11
 
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    コメント(4)